Act.17 Side Yamato

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「じゃそういう事でみんな揃ったし、お肉焼き始めようか! 陽向、肉出して肉!」 毎度のごとくその場を取り仕切り始めた真尋の言葉で、その場に流れた重苦しい空気が変わる。 「ちょっと! アンタたちも動きなさいよ!  あ、阿部さんはそこの袋から野菜出して、大和の鉄板で焼いてくれるかな。糸井さんはこっちで私と一緒にお肉焼いてもらうからね。 それから章吾! アンタ今日はトラックで来てるんだから、お酒飲むんじゃないわよ!」 「うるせぇなぁ小姑か。阿部さんも糸井君もごめんね。小姑の言うとおりにご協力よろしく」 誠也を糸井君なんて章吾が他人行儀で呼んでも、誠也の瞳は微塵も揺れなかった。 その様に章吾もさすがに失笑しながら俺を見た。 しかし俺にも誠也の思惑がさっぱり理解出来ないだけに、バーベキューコンロの炭を無言で観察するしかない。 真尋もそんな空気を即座に読んだのだろうか。 まるで俺と章吾から誠也を引き離すかのごとく、陽向が持参したバーベキューコンロの方に誠也を連れて離れて行った。
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