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今すぐその真意を章吾に確かめたいけれど、誠也と共に俺を見つめる阿部遥香の視線があまりに寂しそうで。
そしてそんな彼女を見つめる誠也の瞳も、さっきまでとは違って哀愁を帯びている。
二人の間に何が起きているのかなんて分からなかった。
そして誠也がこの時、何を考えながら彼女を見つめていたのかも。
「じゃあ……二人も後片付け手伝ってもらっていいか?」
俺の問いかけで我に返ったかのように、ハッと瞳を向けた誠也は今にも壊れそうな笑みを浮かべて頷く。
「もちろんですよ」
しかし俺はそれを問うことなく、バーベキューコンロの片づけへと向かった。
そんな俺と誠也の後ろで、阿部遥香がどんな思いで俺を見つめていたのかさえも気づきもせずに。
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