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コンビニの前に止めた車の運転席。
彼女は俺の存在に気づく様子もなく、呆然と俺のトラックを見つめたまま動かない。
もう……誠也から俺が橘大和だという事実を聞いたのだろうか。
どうしてもそれを確かめたくなって、俺の足が自然と彼女の車に向かって歩みを進めた。
気配に気づいたのか、ようやく彼女の瞳がトラックから俺の方へと向けられる。
しかし俺の姿を捕えたと同時に彼女の瞳が無性に嬉しそうに輝いた気がした。
けれどその瞳はすぐさま潤み、今にも泣きそうに変化する。
ああ……やっぱり聞いたんだ。
そう思ったのに。
慌てて車から降りた彼女は、微かに頬を赤くして俺に挨拶して来た。
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