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「はい……」
寝起き状態の俺の声は弱々しく掠れてしまって、すかさず咳払いして誤魔化す。
「不動さんこんにちは」
誠也の挨拶を聞きながらぼんやり見つめた時計の針は、もう昼を過ぎている。
「ああ、昨日はお疲れ」
「寝てたんですか?」
「うん。夜中に厚木まで走って来たからな」
俺の返事に誠也はしばし沈黙した後、気まずそうに言った。
「じゃあ今日はお邪魔しない方がいいですね」
しかし誠也とゆっくり話したいという思いもあって俺は即座に答える。
「いや、3時間くらい寝られたし問題ない。今から来る?」
「大丈夫ですか?」
昨日はあんなにも挑発的だったくせに、俺を心配しているような誠也の言葉に違和感を覚えながら言った。
「ああ、大丈夫だから。気を付けて来いよ」
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