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電話を切ってから脱ぎ捨ててあった作業着を拾い洗濯機に放り込んだ。
先週、章吾と真尋が遊びに来て掃除してくれたから部屋も散らかっていないし、軽くコロコロだけかけてみる。
まるでこれから女でも招き入れるかのような自分の行動に失笑していると、インターホンが鳴った。
「早っ……」
てっきり誠也は今から下仁田を出るのかと思っていたけれど、どうやら彼は近くにいたらしい。
せめてシャワーを浴びるくらいの時間は欲しかったと思いながら玄関のドアを開けると、ビニール袋を下げた誠也が笑って言った。
「牛丼、買って来ました」
「え?」
「だってメシ食ってないでしょ?」
「……ああ、うん」
昨日とは全く違う笑顔の誠也に戸惑いが隠せなかった。
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