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押し黙った佐俣彩愛は、悔しそうに唇を噛んだのに。
どうしても認める訳には行かなかったのだろう。
再び攻撃的な瞳を取り戻すと、別の形で牙を剥いた。
「じゃあアンタ、阿部さんを好きじゃないなら、私を抱ける?」
「…………」
「糸井さんは私を抱けないってハッキリ言ったわ。
阿部さんを愛してるからって」
「…………」
さすがにどう交わしていいものか迷っていると佐俣彩愛は、それ見ろとでも言わんばかりに高笑いした。
「ほらね、出来ないでしょ?それが何よりの証拠なのよ。
アンタだってやっぱり阿部さんのこと好きなんじゃない。
だったら覚悟なさい。私はたとえ嘘を言ってでも阿部さんと糸井さんの関係を揺さぶってやるわ」
きっとこの女は俺が抱く阿部遥香への想いが、何なのかを確かめたいのだろう。
すかさず佐俣彩愛の腕を掴み荷台に押し付けてやる。
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