309人が本棚に入れています
本棚に追加
「お望みどおりに、とことんまで泣かせてやるよ」
落とした言葉に佐俣彩愛は瞳を泳がせながらも、必死に食い下がって来る。
「ふっ……さすがガテン系は強気よね。そういう獣みたいな男の目、すごく好き」
けれどもう俺には痛々しいとしか受け取れなかった。
荷台に押しつけた佐俣彩愛の細い腕は、小刻みに震えていたからだ。
「アンタさ……どうしてそこまで誠也のために必死になれるの?」
「……な……何言って……」
「何か弱みでも握られてんの?」
「……違うわよ」
「じゃあどうして?」
「…………」
押し黙って俺を睨みあげる佐俣彩愛の腕を解放しながら、俺は穏やかに言葉を放った。
最初のコメントを投稿しよう!