309人が本棚に入れています
本棚に追加
「もっと自分を大切にしてやれよ。アンタだって幸せになる資格を持ってるんだから」
「…………」
「誠也に言っておいて。愛とか恋とか、俺にとっての阿部遥香はその言葉で括れるような次元の存在じゃないんだって」
「……じゃあ何なのよ」
佐俣彩愛の問いかけに俺は小さく笑って答えた。
「尊(みこと)……かな」
唖然としながら俺を見つめる佐俣彩愛をその場に残し、俺は運転席へと乗り込んだ。
ターミナルから走り出させたトラックのミラーには、呆れたように笑う佐俣彩愛の姿が映り込んでいる。
それを見ながら思った。
これ以上佐俣彩愛を巻き込んではいけない。
最初のコメントを投稿しよう!