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事務所に残っていた佐俣専務から横浜便の伝票を受け取った俺は、加賀美を出てすぐにイヤホンマイクを耳に差し、スマホ画面を見た。
しかし真尋からの不在着信が入っていたことに気づき、先に真尋へと電話をかける。
「あ、大和。今日はうちで晩御飯だからね」
「……は?」
「お父さんが張り切ってるから今日は逃げられないわよ。
ってゆーか、来なかったら殺すから」
「…………」
「じゃ車庫に着いたら連絡してちょーだい」
俺の返答など聞く気配もなく真尋は電話を切ってしまった。
おそらく阿部遥香も呼んでいるのだろう。
それにほんの少し気まずさを覚えながらも、俺はもう一度スマホの画面をタップした。
表示された番号にひとつだけため息を吐き出してから発信ボタンを押す。
これで……全てが終わってくれることを願いながら。
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