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それを止めることで、過去から歩み出すことが出来るのは……。
「それと、俺はもうじき誠也の前からも阿部さんの前からも消えるから」
「消えるって……」
「母親がもう長く生きられないんだ。だから最後くらいは看取ってやりたいから福島に引っ越すことになった」
おそらく母親をある日突然に亡くした誠也は、俺の覚悟を止めることなど出来なかったのだろう。
何も反論することもなく黙って聞いている。
「だけど、せめて俺がいなくなるまでに佐俣さんを止めてやってくれ。あの子は誠也のためなら自分が悪者になってでも、とことんまで阿部さんを傷つける覚悟だよ」
「不動さん、俺と佐俣さんは……」
誠也が何を言いたいのかは分かっている。
だから俺はすぐさまそれを否定してやった。
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