Act.23 Side Yamato

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俺が乗り越えられなかった加害者と被害者の壁。 そんなしがらみに囚われる必要のない誠也ならきっと……。 「……不動さん」 「言いたかったのはそれだけ。 来週からは章吾が横浜定期を走ることになると思う」 淡々と言葉を続ける俺に誠也が問いかける。 「……逃げるんですか?」 それは違う。 「逃げるつもりはねぇよ。 またいつか必ず俺はここに帰って来る。 その時、誠也が彼女を幸せにしてなかったら……」 「してなかったら?」 決まってんだろ。 そう思いながら俺は小さく笑って言った。 「今度こそ本気で奪いに行くからな」
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