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俺の意図をくみ取ってくれたのだろう。
誠也も笑いながらそれに応えてくれる。
「奪えるものなら奪ってみてください」
お互いが声に出さずに笑い合う。
あの頃の俺と誠也と同じ空気が流れた気がして。
きっともう、誠也は佐俣彩愛からも阿部遥香からも目を逸らしたりしないだろう。
自分に正直に、けれど決して夢を諦めない。
そんな昔の誠也に戻ってくれると信じながら俺は言った。
「じゃあな」
「はい」
電話を切るとほぼ同時に真尋の車庫に着く。
車道でハザードをつけて車庫にバックでトラックを入れサイドブレーキを引くと、目の前に阿部遥香の車が止まった。
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