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横浜二便目を終わり、再び加賀美に戻れたのは阿部さんと誠也の退社時刻を回ってしまった。
これだと出庫担当の彼女だけは残業という形になってしまうのだろう。
少しでも早く積み込みを終わらせなければと思いながら運転席から飛び降りると、事務所から出て来た誠也がこちらに向かって来た。
「不動さん、おかえりなさい」
「……お疲れ様です」
何を言うつもりだろうと探りながら挨拶を返す。
しかし誠也は寂しそうに笑って言った。
「遥香はもう……あの事故から歩み出しているんだと俺は思いますよ」
「……え?」
「もうあの窓から橘大和を見下ろしていた遥香はいない。そんな気がします」
「……」
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