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「遥香ちゃん、今日のメニューは暑いから流しそうめんだよ」
「流しそうめんですか?」
「そう、お父さんが竹を切って来て即席で作ったんだって。
横持ちを人に任せて休み取りたいなんて言うから何するのかと思ったら、まさかの流しそうめん制作とか笑っちゃうよねぇ」
「流しそうめんなら毒見はしなくて良さそうだ。だけどおやっさん、もう完全に隠居気分だな」
章吾の呟きに真尋は苦笑いしながら答えた。
「まだ隠居するのは早い気がするんだけどねぇ……」
きっとまだおやっさんは自分の病のことを真尋には話していないのだろう。
大切だからこそ、なかなか言えないこともある。
それは今の俺も、同じ気持ちだ。
本当に大切だから……苦しめたくない。
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