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「今まで散々苦労して来たんだ。ゆっくり自分の好きなことやらせてやれよ」
そう言って真尋をなだめた俺は、車の後部席のドアを開け瞳で阿部遥香に乗りこむよう促した。
「あ……すみません」
ペコリと頭を下げた彼女が乗りこみ、続いて俺も乗りこむ。
真尋の車は小回りが利くからこれがいいと言い張る軽自動車だ。
最近の軽自動車は室内が広いとは言え、長身の俺にはさすがに辛い。
極力隣の彼女に密着しないよう気を付けていたけれど、運転の荒い真尋が車庫から走り出した途端、激しい横揺れで俺の膝が彼女の足に当たってしまった。
「あ、ごめん」
「いえ……」
俺と彼女のやり取りを聞いていた章吾がニヤケながら振り返る。
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