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やがて車から降りた彼女に真尋が声を掛け、二人は家の中で天ぷらを用意するために入って行った。
おやっさんの作った流し素麺台は即席で作ったとは思えないほどの出来栄えで、大工の息子で工作が好きな章吾も絶賛する。
「すげーな、おやっさん。だけどこの竹どこから持って来たんですか?」
「材木運んでるトラック仲間の家の敷地に竹藪があるんだよ。で、そいつのトラックで運ばせた」
「杉の丸太の上に竹乗っけて運んで来たんすか?」
「うん。まだ切り残した竹があるから持ってくか?」
「いらないっす」
「竹細工のラックでも作れよ」
「それはないでしょ」
真尋と同じように章吾とおやっさんの掛け合いもささくれ立った俺の心を癒してくれる。
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