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しかしもうじきこんな風に穏やかに流れる時間も終わりを告げる時が来るのも事実だ。
「おやっさん」
「うん?何だ?」
振り返ったおやっさんはいつもと変わらぬ笑顔で俺を見る。
「真尋に……まだ言えていないんですね」
「……うん」
「最後まで言わないつもりですか?」
俺の問いかけにおやっさんは悲しく笑った。
「宇梶君がね、母さんの墓前で真尋にプロポーズするんだって。
だからその時に話そうと思っている」
「……そうですか」
おやっさんと俺のやり取りを章吾は沈黙したまま、噛みしめるように聞いている。
真尋の誕生日まであと20日。
その時、俺は……彼らの新たな旅立ちをどんな想いで見つめているのだろう。
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