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駐車場の方へ向かって行く誠也の背中を見つめながら思った。
たぶん……俺が心配しなくとも、本来の誠也は彼女を幸せにしてやれる器を持っていたのかもしれない。
深く愛しすぎた時、人は誰でも相手の心を自分だけで埋め尽くしたくなるものだ。
ただ、それを口にするか、しないか。
相手に押しつける愛と、相手の幸せを思う愛も……紙一重だ。
お互いの思いの深さが揃うかどうかで、それは重くもなり嬉しさにも変わる。
赤の他人同士が結ばれ家族になるまでの過程を考えてみればその答えは明白だった。
結局誠也と阿部遥香の答えは……。
誠也の想いに阿部遥香の想いが追いつかなかった。
ただそれだけだったのではないだろうか。
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