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事務所のドアを開くと、俺と誠也の動向が心配で仕方なかったのだろう。
不安な表情をあからさまにした阿部遥香が俺を見つめる。
「糸井さんも大人の男だから心配するな」
「……っ」
「横浜行きの出荷指示書、お願いします」
平静を装って言った俺に、彼女は小さく頷くと用意してあった出荷指示書を手渡してくれた。
「明日は横浜一便で収まるように配車組みますので。
少し身体を休めてください」
「……ありがとう」
カウンター越しの彼女にそう言って俺は事務所を後にした。
あとは誠也の本心に気づいているであろう佐俣彩愛の証言を取れば全ての答えが出るだろう。
そう思いながらトラックを出庫ターミナルにつけると、荷物を用意してくれていた向坂部長たちが一斉に荷台になだれ込んで来た。
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