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しかしトラックをターミナルから離して、後部の観音扉を閉めていた時だった。
「不動大和!」
呼び捨てされた声に振り向くと、駐車場の方からやって来たと思われる佐俣彩愛が仁王立ちしている。
そのさまは、まるでツンデレ女王、真尋にそっくりで危うく笑いそうになってしまった。
「いきなり呼び捨てかよ」
「当然でしょ」
「だけど俺を待ってたんだ」
俺の言葉に佐俣彩愛は、フグみたいに頬を膨らませる。
「いいよ。思う存分文句言いなよ」
表情も変えずに言ってやると、佐俣彩愛は膨れていた頬をすぼめて敵意をあらわに俺を見つめた。
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