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「糸井さんが阿部さんを庇うはずはない。
だって彼は身体だけが目的で阿部さんを手放さないズルい男だろ」
佐俣彩愛を冷たく見下ろしカマをかけてやったのは、愛する男を揶揄されたらこの女の正義感がそれだけは許さないと思ったからだ。
すると俺の思惑通り、憔悴していたはずの瞳にまた敵意が戻って言葉を投げつける。
「何も知らないくせに」
「…………」
「糸井さんは阿部さんを守るためにフォークリフトを降りたのよ!
あのままフォークマンでいたら確実に昇進出来たのに」
「なんだそれ?」
「表向きは糸井さんが起こした接触事故で事務所に降りたことになってるけど、本当は違うの!
自分の地位よりも阿部さんを守ろうとする人のどこがズルいって言うのよ!」
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