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そうめんと真尋の作った丸い海老天ですっかり腹も太った午後10時。
「じゃあ遥香ちゃん、気を付けて帰ってね」
にこやかに手を振って真尋と章吾が去った駐車場で、彼女と俺はお互いが顔を見合わせて戸惑った。
本当はもう少し彼女と一緒にいたいと思う自分と、誠也の本当の想いを伝えてやらねばと思う自分が混在して心が乱れる。
それを必死に鎮めようとしていると、彼女は小さく頭を下げて呟いた。
「あ、じゃあ……おやすみなさい」
その言葉に心のどこかで虚しさを感じながら俺も答える。
「うん、おやすみ」
こんな状況で誠也のことを冷静に口に出来る自信がなくて、逃れるように彼女に背中を向けたのに。
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