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けれど私の行動は、運転している彼には完全に気づかれていたのだろう。
微かに戸惑いながら伸びて来た彼の手が、私の頭を捕えて自分の肩に導いた。
「…………」
「…………」
何も言葉なんてない。
しかし彼の行動だけで私には思いが伝わった。
彼もきっと、この一瞬を忘れないよう心に刻みつけ明日へと踏み出して行くのだ。
お互いが無言のまま、けれど触れ合った部分は決して離れずに、深夜の高速道路を駆け抜けて行く。
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