Act.27

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「寒くないか?」 「はい、大丈夫です」 「……うん」 相変わらず言葉少なな彼だけど。 それさえもこんなにも愛おしくて、呼吸までが苦しくなった。 やがてたどり着いた会社の駐車場。 暗闇の中で、彼の表情は良く分からないけれど優しく差し出された手に掴まりながらトラックから降りる。 「あの……送って頂いてありがとうございました。 気をつけて横浜向け、行って来てください」 「うん」 「……じゃあ……」 心の中で名残り惜しさを感じつつ、彼に背中を向けて自分の車に向かおうとした時だった。
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