327人が本棚に入れています
本棚に追加
私の額に優しく触れた彼の唇。
その感触に驚いて瞬きを早めた私に彼は小さく笑うと、力強く抱きしめてくれた。
お互いが微かに身体を震わせる。
けれどそれはお互いが心を重ね、こうして抱き合えることに歓喜しているかのようで。
好き……あなたがずっと……好き。
たとえ世界中の人たちが私たちのことを反対しても。
自分の父親を死に至らしめた男に恋をした愚か者と言われても。
私は……もうあなたしか愛せない。
彼の背中に回した手に力がこもって行くのは、この気持ちを受け止めて欲しいから。
けれど彼もそれに応えるかのように私を力強く包んでくれる。
5年間探し続けたこの温もりを……
────私はもうきっと見失うことはない。
最初のコメントを投稿しよう!