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しかし終業間際までかかってようやく明日の配車を組み終えた時、佐俣さんが私に身を寄せ尋ねて来た。
「ねぇもしかしてさ……」
「うん?」
「不動さんと付き合い始めた?」
「……まさか」
苦笑いした私に佐俣さんは腑に落ちないといった表情を浮かべる。
「違うの?」
「違うよ」
「……ふーん」
納得行かないのだろう。佐俣さんは再び私の耳元に口を寄せ問いかけて来た。
「でも糸井さんとは別れたんだよね?」
どう答えていいものか迷った瞬間、佐俣さんの向こうから誠也が言葉を放った。
「佐俣さん、前に言ってた高崎のフレンチディナー、今日行ってみる?」
「えっ?!」
大声で驚いた佐俣さんの様子に誠也は微かに口角を上げながら笑って言った。
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