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車窓から見える銀杏の葉は黄金に色づき、街はすっかり秋の気配を感じさせている。
それらを後部座席でぼんやりと眺めている私の前では、運転する誠也の横顔に見惚れる佐俣さんがいて。
佐俣さんの熱い視線を浴びながらも、涼しい表情で車を走らせる誠也は今月いっぱいで加賀美を退職することが決まった。
病気の治療に専念する春日さんの後を継いで、誠也の念願だったトラックドライバーになるためだ。
あの事故に関わった私たちは、確かに今、それぞれの明日に向かって歩み出している。
ようやくたどり着いた真尋さんと宇梶さんの式場は、高崎駅から少し離れた場所にある、白亜の教会が併設された貸切の邸宅。
アートトラック連盟の仲間たちも集まってパーティー形式で行われる。
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