Act.29

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「ワンルームで狭いし……布団も一組しかないけど」 「…………」 押し黙って緊張する私とは正反対で、余裕の笑みを浮かべる彼。 なんだかそれがちょっぴり悔しくて。 だけど……こうして触れ合えば答えはもう明らかだった。 「よっ……よろしくお願いします」 「ぶはっ」 私の言葉で彼が運転席で吹き出して笑い出す。 「ちょ……なんで笑うんですか?」 「いや。ごめん。だけど阿部さんはやっぱり阿部さんだなって思って」 「どういう意味ですかっ」 楽しそうに笑い続ける彼の表情に、問いかけながら私も笑ってしまった。
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