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「とりあえずこれ、冷蔵庫に入れておいて」
そう言って彼は手に持っていた買い物袋を私に手渡すと、細長いキッチンを通り越し奥の部屋の電気をつけた。
急いで買って来た食材を冷蔵庫にしまって私も奥の部屋へと足を踏み入れる。
しかしそこにあったのは、まるで生活感のない殺風景な部屋。
シングルベッドとサイドボード、そこには小さ目のテレビとブルーレイレコーダー。
部屋の真ん中には小さなガラステーブルがポツンと置かれているだけだった。
「殺風景で驚いた?」
「……はい」
素直に頷いた私に彼は小さく笑う。
「元々家にはほとんど帰れない仕事だったから、家財道具とか買う気になれなくて、群馬にいた時からずっとこんな感じ」
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