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どこか寂しそうな彼の横顔を見つめながら、私はどうしてここに来るべきだったのかようやく悟った。
ずっと私と彼に約束なんて必要ないって思っていた。
彼はまたいつか、必ず私を見つけてくれると。
だけど、冷静に考えてみたらそれは違う。
何故、今日真尋さんが私にブーケをくれたのか。
何故、真尋さんと宇梶さんが私を福島に向かわせたのか。
真尋さんは確かに言った。
『大和は一人で不安と戦っている』と。
けれど彼のお母さんの看病は、彼がひとりでしていた訳ではない。
きっと真尋さんも宇梶さんもそれを知っていた。
それでも私にそのことを打ち明けず、大和さんの傍に行けと言ったのは……。
───ずっと孤独だった大和さんに、二人でいることの心強さを分かって欲しかったから。
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