Act.29

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どこか寂しそうな彼の横顔を見つめながら、私はどうしてここに来るべきだったのかようやく悟った。 ずっと私と彼に約束なんて必要ないって思っていた。 彼はまたいつか、必ず私を見つけてくれると。 だけど、冷静に考えてみたらそれは違う。 何故、今日真尋さんが私にブーケをくれたのか。 何故、真尋さんと宇梶さんが私を福島に向かわせたのか。 真尋さんは確かに言った。 『大和は一人で不安と戦っている』と。 けれど彼のお母さんの看病は、彼がひとりでしていた訳ではない。 きっと真尋さんも宇梶さんもそれを知っていた。 それでも私にそのことを打ち明けず、大和さんの傍に行けと言ったのは……。 ───ずっと孤独だった大和さんに、二人でいることの心強さを分かって欲しかったから。
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