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「あ……何か飲む?」
思い出したように聞いて大和さんが私の横をすり抜けキッチンへと戻ろうとした。
けれど私は咄嗟に彼の腕を掴んで止める。
「……ん?」
首を傾げて私を見つめる瞳を見上げてみれば、こみ上げた愛しさが涙となって溢れ出した。
「大和……さん」
ポロポロとこぼれ落ちて行く私の涙に彼は戸惑いながら問いかける。
「なんで……泣くの?」
「私っ……」
「…………」
6畳一間の狭い空間。
私と彼の間には、静かに時が流れて行く。
けれどもうこの思いを止めることなんて、今の私には無理だった。
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