Act.29

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みんなの後押しもあって、急遽乗り込んだ最終の東北新幹線は少しづつ速度を緩め、郡山駅へとたどり着く。 降り立ったホームに吹きぬけた風が無性に冷たくて、思わず首をすぼめた。 しかし新幹線の改札を抜けたところでよくよく考えてみたら、今日ここに私が来ることをまだ大和さんに言っていない。 彼の住所は分かっていても、ここから先は在来線に乗り換えて行くのだし、こんな深夜に訪問するのもどうかと思う。 「……どうしよう……」 在来線の時刻表に表示されている電車の数はあと1本だけだ。 つまり最終電車が発車するまであと5分もない。 戸惑いながらそれを見上げていた時だった。
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