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「章吾と真尋から、今朝電話があった」
「えっ?」
「自分たちの結婚式が終わったら、阿部さんをこっちに向かわせるから郡山駅で待ってろって」
「…………」
「だけどアイツら……時間を言わないから」
そう言って小さく笑った彼は、眉根を下げている。
「もしかして……ずっと待っててくれたんですか?」
私の問いかけに彼は一瞬顔を赤らめたけれど、私のスーツケースを手に歩き出した。
「とりあえず行こう。ここは寒いから」
「……あ……はい」
慌てて彼を追いかける。
けれど、すぐに足を止めた彼はゆっくりと振り返り私に手を差し出す。
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