347人が本棚に入れています
本棚に追加
駅の構内を出て、駐車場へと向かいながら大和さんは淡々と言葉を続けた。
「うちの親父とお袋はさ……お互いのためを思って離婚の道を選んだだけで、仲違いして離婚した訳じゃないから。
俺も知らなかったけど……どちらかの最期の時は看取るって約束していたらしい」
「…………」
「だから今日の真尋と章吾の結婚式も、行こうと思えば行けたんだけど……」
そこまで言って大和さんは悲しそうに笑った。
だけど私には痛いくらい分かる。
大和さん自身もお母さんの最期を看取ってあげたいという強い思いのもと、群馬を離れ福島で暮らす道を選択したのだから。
無言になった大和さんと繋がっていた手に力を込めて握り返す。
それは私から大和さんに送るエールだ。
最初のコメントを投稿しよう!