Act.29

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大丈夫。 あなたの親を思う気持ちも、親友たちの幸せを願う優しさも。 ───私は理解しているから。 歩きながら見上げた彼の横顔が街の灯りに映し出され、その目元は微かに細められている。 静かに流れる私たちの時間。 何も言葉などなくても伝わるお互いの思い。 どんなに離れて暮らしていても、私たちの気持ちは揺らいでいない。 それはつまり……この愛しさはつり橋効果でもなく、罪悪感でもないと今なら胸を張って言える。 「大和さん」 「うん?」 「母に話したの」 「……うん」 私の言葉に頷きながらも、彼の細められていた瞳は一瞬で不安をあらわにした。
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