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これから先、私はこうして少しづつ彼の新たな一面を知って行くことが出来る。
それが無性に嬉しくて、自然と笑みがこぼれた私の隣で車のエンジンを掛けた彼がポツリと呟いた。
「今夜……」
「はいっ!」
大きな声で返事をしてしまった自分に驚いて、慌てて手で口を塞ぐと彼は私を見つめて楽しそうに笑った。
「……ごめんなさい」
「いや……。だけどこの時間からじゃホテルに泊まるのも難しいだろうし……俺の家でいい?」
「あっ……」
大和さんに言われて今更気づく。
私は今夜宿泊するホテルのことなんて、全く頭になかった。
いくら真尋さんたちに後押しされたとは言え、これじゃ図々しいにもほどがある。
猛反省し始めた私に彼はやっぱり楽しそうに笑うと、少しだけ意地悪な表情を見せながら言った。
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