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「すぐカレー温めるから、座っていて」
「うん」
彼女に促され、リビングのソファーに腰かけ部屋の中を見回す。
心の中では割り切っているつもりでも、この部屋に入った男は自分が初めてではないことが少し悔しい。
佐俣彩愛と微妙な関係を保つ誠也を真尋はじれったそうに見ているけれど。
誠也とよく似た性格の章吾が言っていた。
「アイツは自分の中から遥香ちゃんが完全に消えるまでは佐俣さんとは付き合わないつもりなんだろ」
きっとそれは誠也なりのケジメなんだと思う。
男として、人として。
まっさらな自分で愛してくれる人と向き合いたいのだと。
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