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小さなことに嫉妬なんて俺らしくないなと思いながらも、キッチンでカレーを温めてくれている彼女の背中を見つめながら心に渦巻く黒いものを言葉に吐き出す。
「ねぇ遥香」
「はいっ」
おたまを手に振り返った彼女の純粋な瞳にまた胸がチクリと痛むけど。
「来週、遥香のお母さんに挨拶済ませたらさ……」
「うん」
頷いた彼女は俺を見つめ、次の言葉をじっと待っている。
結局俺もこうして……彼女を俺だけのものにしたいなんて欲望に駆られ、自我を押し付けてしまうのかもしれない。
だけど……。
本当に愛しているからこそ。
俺だけを見ていて欲しいと思うのも、正真正銘の不動大和なんだ。
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