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「来週の休みに一緒に不動産屋行く?」
「……うん、行く」
「うん」
再び俺と彼女の間には沈黙が戻って来て。
だけどお互いが穏やかな笑みを浮かべる。
普段は敬語のくせに、こういう時だけは敬語ではなくなる彼女。
きっと彼女も俺との距離を一歩一歩近づけようと頑張っているから。
「ご飯、いっぱい食べる?」
「いや、普通でいいよ。何か手伝おうか?」
「あ……じゃあ食器棚からグラス出して冷蔵庫の麦茶……」
「分かった」
しかしソファーから立って食器棚に向かう俺を彼女はまじまじと見つめている。
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