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群馬名物の「かかあ天下」は亭主を尻にひいて自分の思うがままに家庭を仕切っているイメージが強い。
しかし日本遺産にまで認定されたこの言葉にはもうひとつ深い意味がある。
言葉は乱暴に聞こえるけれど内面は情に厚く、その気の強さは家族や親しい人のための頑張りに活かされるというものだ。
この先、俺が長距離で家を空けることが増えても彼女ならきっとしっかりと家庭を守るべく頑張ってくれるだろう。
スローペースな彼女の気持ちは、まだ俺の考えには追いついていないかもしれないけれど。
それが追いついてくれた時、俺は迷わず彼女にプロポーズしようと思う。
「よし、出来た。じゃあ食べましょうか」
「うん」
出来上がった野菜スティックとカレーライスを二人で運んで。
「いただきます」
向かい合って両手を合わせた瞬間、無性に目頭が熱くなった。
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