オマケ◆大和Side 二人の時間

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子供の頃、厳しかった父親と物静かだった母親と三人で囲った食卓の記憶が鮮明に思い浮かんだからだ。 母親の死は覚悟していたことだったし、戸籍上離婚している以上喪主になる訳には行かないと言い張る親父の代わりを務めることも当然だと思っていた。 しかし喪主ともなると次々訪れる弔問客への対応やらで、落ち着いてお袋の死を悼むことなんて出来なかったのも事実だ。 けれど、こうして彼女と二人の穏やかな時間で幸福に包まれているからこそ思い浮かぶのかもしれない。 ふと視線を感じてカレーから視線を上げると、正面の彼女は不思議そうに俺を見つめている。 スプーンを手に持ったものの、カレーを口に運ぼうとしない俺に疑問を感じたのだろう。 慌ててカレーをすくい誤魔化そうとした時、彼女は穏やかな声で問いかける。
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