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「大和さん」
「うん?」
「大和さんのお母さんが作るカレーはどんな味でしたか?」
大切な家族をある日突然に亡くすという悲しみを知る彼女には全てお見通しだったのだろう。
彼女からの問いかけで改めて思った。
俺はもう……遥香に隠し事なんてきっと出来ないんだろうな、と。
「…………」
「カレーってどこの家のも同じように見えるけど、やっぱりちょっと違うんですよね。
例えば私の母はカレーに少しだけニンニクとチョコレートを入れてたし、真尋さんの家は玉ねぎをすりおろして大量に入れるって言ってたし」
「…………」
何も答えられなかったのは、ただ単純にお袋が何をカレーの隠し味に入れていたのかが分からなかったからなんだけど。
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