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「ねぇ遥香……」
「はい?」
微かに首を傾げながら返事をした彼女に歩み寄り、優しく胸の中に包み込む。
いつか俺達が真尋と章吾みたいに喧嘩しても。
遥香がどんなに俺を拒んでも。
もう絶対にここから逃がしてやるもんかと心で密かに思いながら。
「結婚しようか」
ピクリと揺れた彼女の肩。
確信していてもその反応がいったいどちらの意味なのか、緊張しながら返事を待つ。
コチコチと時計の音だけが静かな部屋に響いて更に俺の不安が高まった瞬間、遥香の小さな声が聞こえた。
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