331人が本棚に入れています
本棚に追加
やがて身体の火照りが落ち着き始めた頃、彼女は俺の胸に頬を寄せながら呟く。
「大和さん」
「うん?」
「変な意味に受け取らないでね」
「うん」
穏やかに頷くと彼女は意を決したように俺を見つめた。
そして必死に頭の中でどんな言葉で伝えようか考えているのだろう。
しばしの沈黙の後、彼女はゆっくりと言葉を放った。
「あの事故の後、私の家に来た時のこと」
「…………」
「あの……私が頑なに大和さんに会うことを拒んだあの日……」
そこまで言って彼女は申し訳なさそうに俺を見つめている。
最初のコメントを投稿しよう!