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そこまで言って彼女はまた言葉を止め、その続きをどう俺に伝えようか悩み始める。
そしてしばし続いた沈黙の後、彼女はゆっくりと言葉を放った。
「家族って……いいですよね」
「え?」
「だって家族は永遠に家族だもの。
喧嘩しても、例えば傷つけ合うことがあったとしても……家族の絆は絶対に壊れないでしょ?」
そう言って儚く笑った彼女は俺に背中を向けて寝室の方へ戻って行く。
その後ろ姿を見つめながら俺はまだ言葉にするには早いのではないかと迷っていた思いを口にした。
「遥香も家族を増やしたい?」
突然放たれた俺の言葉に、驚いたように彼女は振り返った。
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