オマケ③■真尋Side 溺愛

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大和との電話を切った私は玄関から飛び出した。 慌てる手でやっと鍵を閉めたと同時に深夜の住宅街を全力疾走する。 ああ、やけ酒なんて飲むんじゃなかったと今更後悔しても遅い。 まだまだ体力には自信があったのに。 トラックの荷台に荷物を積む体力と、マラソンする体力はどうやら別物らしい。 すぐさま息が切れて、気持ちだけは車庫に近づいて行くのに身体がついて行かない。 「くっそー……チャリンコくらい買っておけば良かった」 ヨタヨタと走りながら見上げた夜空には満点の星。 普段トラックのフロントガラス越しに見ている星となんら変わらないはずなのに。 どうしてこんなに滲んで見えるんだろう。
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