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「こりゃあいつらだ、オイ!早くあのガキを確保すんぞ!」
「待て!行くな!アイツの周りを見ろ!」
確保に向かおうとした吸血鬼を止めるように言った理由はこれだった。
綜馬の周りから出てきたのは約3メートル程の身長で恐ろしい顔つきをして額部分からは角が生えている生物、そう鬼だった。それが2体も現れたのだ。
「なんで奴らがこんな時に、あのガキをどうするつもりだ」
「おい、吸血鬼。この子供はお前らのものか?」
性質的にはどちらも、鬼だが双方は互いを嫌っている存在である。
「そうだ!横取りするつもりじゃあねぇだろうな」
「まず俺達は闘えない協定があるからな、今回は引かせてもらう。しかし吸血鬼よ。お前たちの後ろにいるのは協定なぞ知らぬやつだぞ」
そして鬼が帰ると同時にそれ以外は鬼に言われたとおりに後ろを振り向くと
「今度は、モンスターかよ!しかもサイクロイプス、つかさっきの地響きはこいつらの仕業か、おい殺すか?」
「いや。サイクロイプスが単体行動なんて珍しすぎる、近くに仲間がいるはずだ。複数体相手だと荷が重い、ここは早く離脱しないとやばい、しかもアイツ何故かキレてやがる」
そして今サイクロイプスに気を取られている吸血鬼を見て杏は綜馬に山へ行くように指示をする。
「早く!この二人が気づかないうちに山の中へ!」
「けど杏ちゃんが!」
「お父さんから最初で最後の任務なんでしょ?遂行しないでどうするのさ!私なら安心して、なんとかするから!」
そしてその言葉で綜馬は相思相愛だった杏を置いて山へと走りだす!
「あっ!あのクソガキ逃げやがった!」
「もうあのガキは捨て置け!山に行っても野垂れ死ぬだけだ、今はこのガキを連れてここから安全に離脱することだ。」
綜馬を追うことを諦めた吸血鬼だがそのぶん現在の状況は分が悪い。
「おう嬢ちゃん、大人しくしてれば怪我しないで連れて行ってやるからよ。マジで大人しくしててくれよ」
そして一人は杏を担いで走って本部へと帰還していく。
「綜ちゃん、元気でね。好きだよ」
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