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「な、何す…んっ」
間髪入れずに唇が塞がれる。
「…仕事はやるよ、いつも通り。だけど忘れないでよ?プレゼント。」
与えられた柔らかさが今度は首筋に降って来て、その感触に強ばった身体を抱き寄せられた。
「俺、偉くない?痕つけんの我慢した。」
「後で嫌んなるほどつけるけど」と笑う声と一緒に今度は頬にキスが降って来る。
相変わらずその言動に困惑する私をクスリと笑う渋谷。
「可愛い。」
「可愛くない。」
渋谷の腕の中から見上げる様に眉間に皺を寄せて見せると、「あー…もう。」と少し乱暴に抱きしめ直された。
「お願いだからあんまり誘惑しないでよ。」
「してない。」
「してるんだってば…どうすんだよ、戻れなくなったじゃん。」
横の髪を少しかきあげて、うなじに触れるその唇。更にそこに鼻先をくっつける。
「ちょっと!くすぐったい!」
「いいでしょ、この位で我慢してやるつってんだから。」
身体をよじって腕の中から脱出を試みる私を、余裕で閉じ込めて耳たぶに顔を近づけた。
「真理さん、絶対今日、一緒に帰ろうね。」
甘くて優しい囁きに鼓動は跳ねる。けれど、やっぱり穏やかな水面の様に気持が落ち着くのは何故だろう。
…その後始まった打ち合わせは問題なく進んで、二時間後には終わった。
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