初顔合わせ

3/4
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
 早速、私は荷物を入れるため案内をする。 「ここがまりちゃんのところです」  私がそう言うと、お母さんも続く。 「ここだよ、まりちゃんのかばん入れる所」  着替えるところを案内すると、またお母さんも説明し直す。 「まりちゃんのお着替えはここね。わかった?」  まりがコクンと頷いた。  なんて丁寧で細かな説明をするんだろう。もしかして、繰り返して教えるのは嫌味なんだろうか?私は信用されていないのか?  いや。そんな人には見えない。まりが心配と言っていたし、過保護なだけだとも取れる。  どちらにせよ、私はもっと精進せねば。  とはいえどんな顔をして謙遜するのか気になった。 「とても丁寧に説明してくださって、ありがとうございます」  私がそう言うと、お母さんは一瞬ハッとし暗い顔になった。何かまずかったか? 「藤岡先生、実は私、病気でして…もう長くないんです」  言葉に詰まった。いかにもそんなような顔をしてはいるが、まさかそんな。 「う、動かれて大丈夫なんですか?」 「…でも、まりが1人で何でもできるようにしておきたくて…。まりをよろしくお願いします」  お母さんはまっすぐこちらを見て言った。
/11ページ

最初のコメントを投稿しよう!