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初顔合わせ
幼稚園の先生になって、今年で2年目。
まだまだ学ぶことが多い。
私の受け持っているこぐま(年少)は園で一番人数の少ないクラスだから、新しい友達が来てくれたらと思っていた。
八月、今日から夏期保育に入る。
クラスのみんなは部屋で自分の好きな遊びをしているところだ。
誰も喧嘩をしていないのを確認しながら、私も何人かに引っ張られ一緒に混ざる。
このクラスはみんな元気だ。
少しやんちゃだけどみんないい子たちで、私は保育の仕事ができて幸せだと思う。
大変なことのほうが多いけれど。
遠くから園長先生の声がした。
「藤岡先生」
振り向くと、私に向かって手招きをしている。
「はーい!」
子どもたちに一言断って駆けつけると、そこには女の子が、お母さんと立っていた。
近くにいた子が「誰?」と言うのが他の子の耳に入って、さっきまでバラバラに遊んでいたみんなの注意があっという間にひとつに集められる。
私にも突然のことで、園長先生を見た。
「明日からこぐまに入ることになった、やしろまりちゃんです。みんな仲良くできるかな?」
「ハーイ!」
子どもたちは手を挙げて元気な返事をした。
やっぱり温かい子たちだな、と口元が綻ぶ。
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